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証拠保全の対応

1.証拠保全とは

あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難な事情がある場合に、口頭弁論や公判期日前に証拠調べをする手続です。あまり知られていませんが、訴訟になる前に証拠保全の手続きがされますので、特に患者様からクレームがなかった場合であっても突然証拠保全の手続きがなされる場合があります。

2.証拠保全の方法

ある日突然、裁判所執行官が「証拠保全決定」という書面を持参し、すぐあと(2時間以内が通常です)、裁判官や裁判所書記官、患者様側弁護士が来院し、カルテなどの記録一式の提示を求められます。 通常は、カルテ等の記録一式原本とコピーを用意しておけば、同一性を確認し、それを持ち帰るという流れになります。 しかし、歯科医師に精神的圧力をかけるために、カメラマンを同行し、証拠の1枚1枚を時間をかけて撮影する場合もあります。証拠保全の現場で、歯科医師に直接働きかけ、言質を取ろうとする患者様側弁護士もいるようです。

3.証拠保全の際に気を付けること

証拠保全の際に、特に気を付けることは、裁判官からの質問に対しては速やかに答える、カルテ等の資料はすべて開示するということです。患者様側弁護士が、歯科医師に対して質問をするケースもあるようですが、それについては、答える必要はありません。そして、可能であれば歯科医師側の弁護士の立会をすることをお勧めいたします。裁判所や患者様側弁護士に歯科医師のみが対応することは、非常に負担となり、後の診療にも影響があります。証拠保全がなされたからといって、裁判所に医療ミスと認められたわけではないため、気落ちする必要はありません。患者様側弁護士がカルテを入手した後に訴訟をあきらめるという事案も多々あります。証拠保全の連絡を受けましたら、専門の弁護士に相談しましょう。同席できない場合でも、対応策についてアドバイスいたします。